このページでは、様々な事由によって住宅が完成せず、工事が途中で止まってしまうといったリスクに備える住宅完成保証制度について詳しく解説しています。住宅建設業者のリスクマネジメントとして考えられる住宅完成保証制度について把握しておきましょう。
住宅完成保証制度とは、新築住宅の建設中に住宅建設業者が倒産してしまったり、思いがけない事故が発生して工事が中断してしまったりした場合に、余分に発生した工事費用や前払い金についての損害賠償などを保証会社が保証してくれる制度です。
新築建設工事が中断してしまったり、再開・継続が困難になってしまったりするリスク要因には様々なことが考えられ、住宅建設業者として住宅完成保証制度を活用していることは施主に対して安心感をアピールする材料の1つとなるでしょう。
住宅完成保証制度が活用されるケースとしては、例えば住宅建設業者が新築建設工事の完了前に倒産してしまって、そのままでは工事を継続することが難しくなった場合などが挙げられます。
住宅建設業者が住宅完成保証制度を活用している場合、保証会社が別の住宅建設業者を紹介してくれたり、工事の実現に向けて余分にかかってしまった費用や前払い金の損害を補償してくれたりします。
新築建設工事では、あらかじめ前払い金や着手金といった諸費用を施主から受け取り、住宅建設業者が工事をスタートさせます。また工事の段階や期間によって中間費用が支払われる場合もあるでしょう。
一方、住宅建設業者が工事完了前に倒産してしまった場合、それらの諸費用について施主へ返金することが困難となります。
経営悪化や事業継続を困難にするリスクは様々な事情によって発生しうるため、万が一の備えとして住宅完成保証制度へ加入しておくことは施主への責任を果たす上で重要と考えられます。
住宅建設業者の倒産によって新築建設工事が中断してしまうとしても、そのままでは未完成の住宅が放置されることになるため、改めて工事を引き継いでくれる他の住宅建設業者を探さなければなりません。
しかし他社が途中まで行った工事をそのまま引き継いでくれる業者はなかなか見つからず、また業者が見つかったとしても追加費用や再設計・再見積といった労力が発生することになります。
住宅完成保証制度に加入している場合、保証会社が業者の選定や調整を担当してくれることが重要です。
住宅建設業者はそれぞれの工事のノウハウや下請け業者などを活用しており、同じ設計・デザインであっても実際の施工費用は業者によって異なります。そのため、他の住宅建設業者へ工事を引き継いだ場合、改めて新しい業者が算定した工事費用を前提として工事を再開しなければなりません。
しかし、すでに途中まで進んでいた工事を一から引き継ぐ場合、再調査や再設計、工事を行うまでの調整などに追加費用が発生するため、トータルコストが拡大してしまいます。
住宅建設業者にとって、住宅完成保証制度が発動する際はすでに倒産や事業危機など深刻な状況に陥っていることが想定されます。しかし、これから住宅を新築しようと考えている施主にとっては、常に万が一を考えつつ安心したいと望むことも自然でしょう。
住宅完成保証制度へ加入しているということは、住宅建設業者としてどのような状況になったとしても、最後まで施主へ業者としての責任を果たすのだとアピールすることにつながります。
新築建設では、住宅建設業者としての信用力や信頼性をいかに施主へ伝えていくかが関係構築の土台となるため、住宅完成保証制度へ加入することで営業しやすくなり、受注率の向上や競合他社との差別化を推進していくことが可能となります。
住宅完成保証制度では、原則として請負金額が3,600万円までの住宅を対象としていることが重要です。なお、店舗兼住宅のような物件の場合、住宅面積が全体の半分以上を占めているといった要件が設けられています。
住宅には、一戸建ての低層注文住宅、木造・鉄骨造の集合住宅、店舗併用住宅が含まれます。
なお、保証会社や契約内容によって実際の保証対象が拡大されていることもあるでしょう。
住宅完成保証制度では、大きく分けて「保険タイプ」と「エクスロータイプ」という2種類の契約方式が設定されており、それぞれに特徴があることもポイントです。
保険タイプは、生命保険や医療保険のように、一定の保険料を支払っておくことでトラブル発生時の追加費用等を保証会社が補填してくれる契約方式です。
具体的には工事の引き継ぎにおいて追加で発生する費用が保証されますが、その金額上限は請負額の20%になっていることも無視できません。つまり、場合によっては追加費用の全額が保証されないことに注意してください。
エクスロータイプとは、住宅建設業者が倒産や工事の継続困難といった事態に備えて、あらかじめ保証会社へ建設資金を預けておくという契約方式です。最初から倒産後の工事の引き継ぎなどを想定して資金が預けられているため、保証範囲外の追加費用が発生しにくく、損失を抑えやすいといった特徴があります。ただし、先に資金を預けなければならず、事前に費用を用意しなければならないことがデメリットになるとも考えられるでしょう。
基本的な保証対象の条件や契約方式は共通しているものの、実際にどの程度の範囲で保証してくれるかは契約する保証会社や団体によって異なります。
住宅完成保証制度を提供している保証会社には「一般財団法人住宅保証支援機構」や「株式会社住宅あんしん保証」などがあり、契約前にそれぞれの特徴や概要をチェックしておくことが欠かせません。
一般財団法人住宅保証支援機構では保証タイプとしてA・Bの2種類を用意しており、事業者登録の種類によって加入できるタイプが異なります。また保証限度額は事業者ごとに「1億5千万円」となっており、さらに工事1つあたりにつき「増嵩工事費用の20%:Aタイプ」と「増嵩工事費用の保証(20%)+前払金の損害保証(1~20%):Bタイプ」がそれぞれ設定されています。
なお、Bタイプの保証内容については第一種登録業者しか加入できません。
対象事業者は中小企業基本法が定める中小事業者や個人事業主となっています。
株式会社住宅あんしん保証では、「あんしん住宅瑕疵保険」の届出事業者であることなど、一定の要件を満たす住宅建設業者に対して住宅完成保証制度を提供しています。
原則として請負金額が3600万円未満であり、保証限度額は以下のように設定されていることが特徴です。
保証料は事業者登録料と1棟あたりの保証料に分けられており、事業者登録料が税別36,000円(初回)、その後の更新料(初回無料)が税別30,000円、1棟あたりの保証料が100,000円(消費税非課税)です。
登録要件や申請方法は保証会社によって異なるため、詳細はそれぞれの担当窓口へご確認ください。
住宅保証機構の場合、中小企業基本法の定める中小事業者が対象事業者となり、個人を発注者とする新築一戸建て住宅(併用住宅可)の工事が対象となります。
住宅あんしん保証の場合、「あんしん住宅瑕疵保険」の届出事業者であることに加えて、事業開始から3年以上、住宅建築実績5棟以上といった実績条件が定められています。
住宅完成保証制度への加入申請では審査が行われており、住宅建設業者としての事業安定性や実績、財務状態、欠落事由に該当しないことなどがチェックされることも重要です。
住宅保証機構も住宅あんしん保証も共に登録有効期限は入金後1年間となります。
住宅完成保証制度は、自社の倒産や万一のリスクに備えて、住宅建設業者が施主のために加入しておく保証制度です。そのため、業者にとって費用負担が発生するというデメリットを感じる場合もありますが、施主の立場になれば信用度や信頼性に関わる項目であり、業者の比較検討を進める際にも注目すべきポイントになります。
2022年1月24日時点で「住宅設備保証」と検索した際に表示される会社のうち、下記条件に当てはまる会社をピックアップして紹介。
JBRグループ各社と協力し、ハウスメーカーや住宅事業者に限らず、商社や量販店、ネット量販店、リフォーム業者など、住宅設備に係わる多くの業界・企業に保証サービスを提供。
エンドユーザーの悩みを解決するために、サービス拡充にも積極的に対応。
対応できるプランは異なるものの、SOMPOワランティが保証対象としている各種設備メーカーの数は、実に546社。2022年2月8日調査時点
SOMPOホールディングスグループの強い経営基盤とリスク管理体制が特徴。
2009年から新築住宅向けの延長保証サービスを提供し始め、2017年11月時点で累計約3,500社※公式サイトよりの住宅事業者と提携。
事業者独自にのポイントを発行し、リフォームや備品買い替えに活用できるプランの提案など、対住宅事業者に特化したサービスを展開。
※各種保証の対象・条件は設備メーカーが設定しているメーカー保証に準じます。詳細は各保証会社に確認してください。