工務店の人手不足について

工務店経営の課題の一つは、人手不足です。本記事では、工務店が人手不足な理由や人手不足の対処法について解説します。

工務店が人手不足な理由

職人の数が激減しているから

人手不足の工務店であっても、DXの推進などにより、営業や経理などの業務には対応できるかもしれません。しかし人手不足の大きな理由は、職人の数が激減しているからです。

国土交通省が公開している「大工就業者数の推移」によると、2000年に約65万人いた大工就業者が、2020には約30万人と半数以下に減少しています。しかも少子高齢化により、60歳以上の割合が多く、30歳以下の職人が足りません。

参照元：国土交通省HP（https://www1.mlit.go.jp:8088/jutakukentiku/house/content/001581926.pdf）

労働環境に対するイメージが良くないから

工務店で働く職人の仕事に対して、「3K」のイメージを抱く人が少なくありません。3Kとは、「きつい」「汚い」「危険」の頭文字を合わせた用語です。

自分の子どもに「3K」の仕事をさせたくない保護者もいますし、子どもも「できれば3Kの仕事に就きたくない」と考えるため、若手の職人が工務店に入ってこないという現状があります。

後継者を育成できないから

飲食店の廃業が増えて案件数が減ったり、ウッドショックによって資材価格が高騰したりしているため、工務店が人件費をかけて新たな人材を雇用しづらい状況にあります。経営難により後継者を育成できないと、営業から経理まで社長一人で対応しなくてはならず、人手不足が解消されません。

工務店の人手不足の対処法

若手の育成体制を改善する

一昔前の工務店では、「先輩の仕事を目で見て覚える」といった考え方が強く、手取り足取り教えるのではなく、自分で仕事を覚えさせる傾向がありました。また仕事でミスをすると怒鳴られてしまい、現在パワハラと捉えられるような指導も珍しくありませんでした。

しかし昔ながらの育成体制のままでは、若手の入職数や定着率を上げることができません。分かりやすい業務マニュアルを作成し、相談しやすい体制を整えて、「仕事に来るのが楽しい」と感じてもらえる環境づくりが重要です。

労働環境や雇用条件を見直す

人手不足が深刻化すると、作業量や時間外労働が増えてしまいがちです。しかし現代ではライフワークバランスが重視されているため、従業員は生活と仕事のバランスが取れる働き方を求めています。

そこで国土交通省が推進している「新3K」（「給与」「休暇」「希望」）の実現を目指して、労働環境や雇用条件の見直しが必要です。

参照元：国土交通省HP「新３Kを実現するための直轄工事における取組」（2ページ）（https://www.mlit.go.jp/tec/content/001368311.pdf）

DXを推進して業務効率化を図る

工務店の業務においてDXを推進して、職人の作業工数を軽減できれば、人材不足の解消につながります。スマホやタブレットで住宅の間取りや動線設計を確認できるバーチャル展示場や建設用ロボットなど、職人の負担を軽減するデジタルツールの導入が有効です。

まとめ

工務店の人手不足は、年々深刻化しています。課題解決のためには、若手の育成体制や労働環境の見直し、DXの推進などが必要です。自社の課題を洗い出したうえで、適した解決策を検討しましょう。

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